みつわカイロプラクティック

背骨は大黒柱ではない?正しい姿勢矯正とは?

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背骨は大黒柱ではない?

「背骨は体の大黒柱だから、ゆがんでしまった背骨を矯正して正しい姿勢を作っていきましょう」これは私が学生だった頃、一般のカイロプラクティック整体を受けた時に説明された言葉です。数分ほどの背骨や骨盤の検査の後、ボキボキと首〜背中〜腰と背骨を矯正してもらい、終わって立ち上がると体もなんとなくスッキリしたのでその言葉にも納得したような感じがありました。しかし同じ職業に就き経験を重ねるにつれてこの言葉に疑問を感じるようになります。

確かに柱で支えられている家のように、背骨があるからこそ上半身は直立を維持できていることには間違いありません。その意味では背骨は体を支える柱の役目があるといえます。しかし問題は、「大黒柱が曲がった状態で傾いた家」と「背骨が曲がった状態で傾いた体」では直し方が同じかどうかです。もし大黒柱を直して家を直すのと同じ事が人の体でも当てはまるのであれば、猫背も背骨を矯正することで改善できることになりますが、そのためには大黒柱と背骨が「同じ構造といえる」ことが第一条件になります。表現を変えれば家の大黒柱の代わりに背骨の構造を模倣した柱を使っても大黒柱として成立することが少なくとも必要で、成立しないのであれば大黒柱と背骨は違うシステムを使っていることになります。

そしてシステムが違えば当然直し方が違ってきます。そこでそれぞれの特徴を比べてみます。まず形ですが、大黒柱は通常は直線的に真っ直ぐな状態で使用されます。それに対して背骨は前後から見れば直線的ですが、左右から見れば前後に湾曲しています。構造を支えるものとしては力の加わる方向に対して同じ向きに直線的であるほうが強度を保てますので、垂直方向に加わる力に対して大黒柱はとても有利な状態といえますが、背骨は柱ほど特化していないといえます。

特に肩から上だけを見ると、首は体重の10%程も重量がある頭をすぐ下で支える支柱状になっていますが、その柱である頸椎が前に湾曲していることを考えると「頸椎の強度とは別の支える力」の存在を感じさせます。ただし、人体は建物と違って歩く・走るなどにより加わる負荷の大きさ常に一定とは限らないことから、わざと背骨が湾曲することでスプリングのように衝撃を緩和しているとは考えられまが、それを差引いても「別の支える力」の存在は次の特徴によってさらに強くなります。

それは大黒柱は1本の棒状ですが背骨は複数のパーツ(椎骨)が連なった形状な上、パーツどうしの間(関節)はコラーゲンなどでできた弾力性のあるもの(椎間板)を挟んで不安定であるにも関わらず、同じくコラーゲンが主で伸縮性がある靭帯で固定しているにすぎません。背骨がそのような構造をしているのは3つ目の特徴である「曲がる構造になっている」ためですが、背骨の関節は部分によって程度の差はあるものの基本的には関節を軸として前後左右に曲げたり回すことができます。

どれほど動かしやすいかを確認するには誰かに力を抜いて仰向けに寝てもらい、その人の頭を持って首を曲げたり周りしたり動かしてみればわかります。頭の重さがあるのでそれなりの力は必要ですが、あくまで「重さ」を感じるのであって「頸椎が曲がりにくくて首を動かしにくい」とは全く感じないはずです。それだけ力を抜いた状態の背骨の関節は小さな力でも自由に動かせる状態になっています。それらを踏まえるとパーツ(椎骨)としてはそれなりの強度をもっているものの、背骨全体としてはそれ自身だけで支柱となる構造では決してなく、とても大黒柱の代わりは務まらないと言えます。また、その可動性からはむしろ「背骨こそ何かに支えられないと成立しない」ものというイメージの方がしっくりきます。

では背骨を支えているものは一体何でしょうか?見当が付いている方も多いと思いますが、それが「筋肉」です。筋肉は主に骨から別の骨へ関節をまたいでくっつき、自在に伸び縮みすることで関節を動かすことが役割です。その中でも不安定な関節に緊張を与えて姿勢を維持する役割はインナーマッスルと総称される体の深部にある筋肉が担っていて、背骨もそれらの筋肉によって直立を保っています。つまり大黒柱は自身の強度を利用して支えているのに対して、背骨は自身の強度を支柱として利用するためには筋肉に支えてもらわないと成立しないシステムになっています。

そのため人の体は脊柱が曲がっていたとしても大黒柱のようにそれ自体の矯正のみで一般的な猫背のような姿勢が改善することはありません。ただし「背骨の広範囲で関節が硬く動きが無くなった状態」であれば背骨の矯正によって姿勢を維持しやすくなりますが、あくまで一時的なことであり根本改善改善のためにはインナーマッスルなど筋肉のバランスを適切に保つことが不可欠になります。また他にも異常な重心をかばったために姿勢が崩れる事も少なくなく(→「カイロプラクティック整体の問題点」)、背骨=大黒柱ほどシンプルではないのが事実です。